Hepato biliary pancreatic

肝胆膵内科

肝臓・胆嚢・胆管・膵臓を中心に、その他消化器官との関係性も重視して診療しています

肝胆膵内科とは

消化器には食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、胆管、膵臓などさまざまな臓器があり、それぞれ多くの疾患が存在します。肝胆膵内科は、消化器の中でも肝臓、胆嚢、胆管、膵臓の疾患に対して診断と内科治療を行う診療科です。
おなかの不調は食道や胃、大腸など消化管だけでなく、肝胆膵疾患が原因の場合あるいは複数の臓器にかかわる場合が少なくないため、消化管や肝胆膵疾患を併せて検討することで、患者様により良い治療を迅速かつ適切に提供いたします。

こんな症状ありませんか?


  • 黄疸(皮膚や目が黄色くなる)
  • 全身の倦怠感
  • 食欲の低下
  • みぞおち・背中の痛み
  • 体重の減少
  • 体のむくみ

肝臓疾患

肝炎

肝炎は、何らかの原因によって肝臓に炎症が起こる病気です。原因には脂肪やアルコールの摂り過ぎ、薬剤の副作用、ウイルス感染、免疫の異常など、肝臓に負担がかかることが挙げられます。
肝炎は適切な治療を行わないまま長期間経過すると、やがて肝硬変や肝がんへと進行してしまうため、早期に発見して適切な治療を行うことが大切です。

肝がん

肝臓にがんが発生することを「肝がん」と呼びます。肝がんには肝臓自体から発生する「原発性肝がん」と肝臓以外にできたがん腫や肉腫が肝臓に転移することで発生する「転移性肝がん」があります。原発性肝癌の90%以上が肝細胞から発生する肝細胞がんで、B型・C型肝炎ウイルス感染や肝機能が低下している肝硬変の有無を検討することが重要です。また、この病気の特徴として再発率が高いことが知られています。
転移性肝がんは原発性肝癌の約20倍と高い頻度で発生するといわれています。大腸をはじめとして胃、膵臓などのがんからの転移が多く、治療成績はもともと発生した臓器のがんの性質に大きく左右されます。大腸がんからの転移性肝がんでは積極的な手術も行われていますが、一般的にがんが全身に血流やリンパ節のながれにのって広がった結果であり、治療は複雑で、新たに開発された多くの抗がん剤を繰り返し投与する場合もあります。このような治療は基本的に基幹病院でおこなうことが多いのが実情です。

肝硬変

肝硬変は、長期間の炎症によって細胞の破壊と修復が繰り返されることで、肝臓が硬くなり機能が低下してしまう病気です。肝臓が炎症を起こして肝細胞が破壊されると、肝臓は破壊された細胞を修復しようと働きます。けれど、炎症が長期間続いて破壊と修復を繰り返すと、肝臓の中で繊維組織が増えて肝臓が小さく硬くなり、肝臓の機能を十分に果たせなくなってしまいます。
肝硬変になると体内のバランスが崩れ、黄疸、腹水貯留、肝性脳症、食道静脈瘤などさまざまな病態を起こすおそれがあります。また、肝硬変から肝細胞がんが発生することも知られています。
肝硬変は各々の症状に応じた予防や治療が必要です。腹水の予防には塩分制限、肝性脳症の予防には排便コントールなど、こまめな検査とともに厳格な日常生活の指導を行います。

胆嚢・胆管疾患

胆石症

胆石症は胆汁の成分が固まって石状になり、胆管や胆嚢に溜まる病気です。主な症状には右肩や背中の痛みなどがありますが、症状を伴わないこともあります。胆石症は自覚症状がなく日常生活に支障をきたさないことも多いため、検査をして初めて見つかることも少なくありません。女性の方、肥満気味の方、中高年の方に発症しやすいといわれています。
炎症が生じている場合には、薬物による内科的治療、内視鏡を用いた治療、超音波による粉砕治療などを行います。

胆嚢炎

胆嚢炎は、胆石症や細菌感染などが原因で起こる胆嚢の炎症です。胆嚢炎は9割が胆石によっておこるとされています。最近ではタバコとの関連性も指摘されています。大まかに急性胆嚢炎、慢性胆嚢炎があります。急性胆嚢炎の場合は、抗生物質の投与やドレナージといった胆汁を体外に導く処置が必要な場合、があり、最終的に腹腔鏡などによる摘出手術が必要となります。慢性胆嚢炎と診断された場合、胆嚢癌との区別が重要になります。

胆管がん

胆管にがんができる病気です。胆管がんには、肝臓内の胆管にがんができる胆内胆管がんと、肝臓外の胆管にがんができる胆外胆管がんの2種類があります。
胆管は非常に細く詰まりやすいため、がんができると胆管が塞がれて胆汁の流れが妨げられてしまいます。それによって黄疸が現れると、皮膚や白目が黄色くなったり、かゆみを感じたりするようになります。黄疸は主な初期症状の一つですが、初期に必ずみられるものではありません。肝臓内の細い血管や胆嚢にがんができた場合は、黄疸が現れにくく病気が進行してから現れます。その他の症状には、みぞおちから右上腹部にかけての鈍痛、全身倦怠感、発熱、体重減少、食欲不振などがあります。

胆嚢がん

胆嚢にできるがんを胆嚢がんといい、比較的まれですが、消化器がんの中で治療が困難ながんの一つです。困難である理由は、進行していない状態では自覚症状が乏しいことと、発見された時点で周囲臓器に浸潤をきたした進行がんであることが少なくないためです。発症年齢は70代が最も多く、やや女性に多い傾向があります。胆嚢がん発生の危険因子としては、胆嚢結石や膵胆管合流異常と呼ばれる解剖学的要因が挙げられています。その他、肥満、糖尿病、細菌感染、喫煙、飲酒などもリスクを高めます。

膵臓疾患

膵臓がん

膵臓にがんができる病気で、悪性度が高く初期症状が現れにくいのが特徴です。現在の医療では早期治療が非常に難しく進行も早いため、日本の臓器別がん死亡率第4位となっており、年間約3万4千人が膵臓がんで亡くなっています。そのため、当院でも発見に注意を払っている病気の一つです。
発症要因には肥満、喫煙、糖尿病、慢性膵炎、遺伝の影響などさまざまなものがあります。また、膵管(消化液の通る管)を覆う上皮に遺伝子変異が蓄積することも関係しているといわれています。親・兄弟・子供に2人以上、または同家系で50歳未満の膵臓がんの方がいる場合は、リスクが高くなるため注意が必要です。

膵のう胞

膵のう胞は、膵臓に嚢胞(液体が溜まっている袋状のもの)ができる病気です。大きく分けて腫瘍性のものと炎症性のものがあり、炎症性のものががん化する可能性は低いといわれています。それに対して腫瘍性膵のう胞には一部悪性のものがあり、良性と診断されたものでも時間の経過とともに悪性化する場合があるため注意が必要です。腫瘍性膵のう胞には、症状が現れにくいという特徴もあります。
悪性のリスクが高いかどうかは発見時の形の評価が重要だといわれており、その後の定期的な精密検査も欠かせません。膵のう胞は経過観察となることも多い病気ですが、悪性化が強く疑われる場合には手術によって切除することがあります。

急性膵炎

急性膵炎は、膵臓に急激な炎症が起こる病気です。膵臓は消化液(膵液)を分泌して食物の消化を助けていますが、何らかの原因によって消化液の分泌が活発化すると、食物だけでなく膵臓自身も消化して炎症を起こしてしまいます。重症化すると、多臓器不全となり命を落とす危険があるといわれています。
アルコールを多飲した方や脂っこいものを食べた方、高脂血症や胆石をもっている方が急に強い腹痛を生じた場合には、急性膵炎の発症が疑われます。また、特殊な内視鏡検査の合併症として発症することもあります。
急性膵炎は血液検査や画像検査で診断し、急性膵炎と診断されると殆どの場合が入院治療になります。

慢性膵炎

慢性膵炎は膵臓が変性(線維化)し、機能が低下する病気です。主な原因はアルコールによるものですが、まれに自己免疫の異常によって慢性膵炎になることもあります。
主な症状には、腹痛、背中の痛み、下痢、体重減少などが挙げられます。病気が進行すると自覚症状は少なくなりますが、膵臓の機能低下に伴う栄養の消化不良や体重減少、インスリンの分泌低下による糖尿病の発症がみられるようになります。

病気を正確かつ迅速に発見するための内視鏡検査機器を取り揃えています

当院は、消化器の検査をするための内視鏡機器を設置しています。消化器は一部分のみでなく、様々な器官が関係し合い、病気を引き起こすこともあります。患者様の症状の原因は何なのか、どんな病気を発症しているのか、正確かつ迅速に発見するために様々な機器を取り揃えています。

「最近食欲がない」「体重が減少してきた」など、明らかな不調を感じた場合だけでなく、なんとなくおなかが不快、痛い、以前より便秘がちなどのはっきりしない症状でも、まずはご相談ください。病気が重くなる前に、早期発見・早期治療を目指しましょう。

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